【Eコマース向け】マルチチャネルの顧客・売上情報を集約する

マルチチャネルを駆使した販売により、売上を効率的に伸ばす企業の多くは、各チャネルからの売上をどう管理するかという課題を抱えています。

以下では、マルチチャネルとデータの管理について考察します。

マルチチャネルのメリット・デメリット

はじめに、マルチチャネルのメリットとデメリットの基本を振り返ってみます。

メリット(1) 販売機会の創出

実店舗、自社EC、複数のECポータルなどの販売チャネルを活用することで、「それぞれのチャネルが持つ顧客」に対して効率的にアプローチが行えます。そして、出店にかかるコスト(費用ならびに労力)は年々低下しています。

自社ECは、BaseやShopify等の登場により、1からECサイトを構築せずに自社ECを開始できるため、導入にかかる工数やセキュリティ面での負担といったハードルが下がっています。

また、楽天・Amazon・Yahoo!ショッピングなどのECポータルは、加盟店獲得のために熾烈な競争が行われ、手数料の競争、そして集客の強化、そしてユーザーと加盟店のUI/UXが日々強化されています。

メリット(2) 精度の高い販促実施

マルチチャネルで商品・サービスを利用する顧客を正しく把握することで、適切なアプローチを行うことが可能です。顧客がマルチチャネルで

  • いつ買ったか
  • 何を買ったか
  • いくら買ったか
  • 何点買ったか
  • クーポン/キャンペーンを使ったか
  • 送料無料に該当するか

などを分析することで、より高い購買金額への誘導、より頻繁に買ってくれる施策の実施などが行えるようになります。例えば、「ある顧客は、送料無料のECポータルでは購買ごとの平均単価が低く、5,000円以上送料無料の自社ECでは購買ごとの平均単価が高い」という場合、「自社ECの送料無料となる金額を引き下げて、利益率の高い自社ECへ誘導できないか」という洞察が可能となります。

デメリット(1) 在庫管理の煩雑化

「店舗」「自社EC」「ECポータル」で商品を販売する場合、在庫の管理は頭の痛い問題となります。巨大な企業を除くと、

  • 店舗在庫=自社EC在庫=ECポータル在庫、または
  • 自社EC在庫=ECポータル在庫

となっている場合が多く、「どこか1つのチャネルで売上が急増した場合、他のチャネルでは「販売中」となっているが実際は品切れが発生」といった在庫管理上の難しさがあります。

デメリット(2) 相互送客のハードル

「ポイントを配っているECポータル経由ばかり売れているので、売上は増加したが利益率は低下した」という課題があります。自社EC集客のために積極的に広告を出しても、ポイントや使い勝手、すでにアカウントが登録されているので便利といった理由でECポータルに顧客が流れるケースは少なくありません。

マルチチャネルを成功させるデータ統合とデータ品質

複数の販売チャネルの販売データを統合することで、複数チャネルを利用する個客を特定して、購買動向を分析し、利益率増加や販売額増加、購買頻度の増加のための対策が行なえます。例えば、メルマガ、クーポン配布、まとめ買い割引、送料無料、ポイント増加といった販促手法を、どのタイミングで、どの購買層に適用するのが最大の効果が得られるかについて、データから洞察が得られます。

そして、データ統合を実施するうえで最も重要となるのは「データ品質」です。具体的には、「データに誤りがないか」「データフォーマットが同じか」「データ処理を自動化できるか」の3点が重要となります。

データに誤りがあれば、いくら分析を行っても正しい結果が得られません。また、データフォーマットが異なる場合、フォーマットを揃えなければ、一括で分析可能となりません。そして、ヒューマンエラーを避け、大量のデータを毎日処理するには、データ処理を自動化する必要があります。

データに誤りがないかは、データソースごとに確認が必要ですが、問題がないことがわかれば、以後はETLツールを利用してデータ統合処理を自動化可能です。

マルチチャネルにおけるデータ統合の4ステップ

以下にデータ統合における4つのステップを記載します

(1)データ統合表を作成する

各チャネルでは保持しているデータの内容や項目名が少しずつ異なるケースが多くあります。例えば注文時に発行される一意の番号について、自社ECでは「注文番号」、ECポータルでは「オーダーID」となっている場合などがあります。

このため、各チャネルごとにデータ統合する項目を決め、各項目が最終的にはどのような項目名で出力されるかを、「データ統合表」にまとめます。

(2)ETLツールをセットアップする

ETLツールを利用し、各データソースと接続します。ETLツール側には、データソースに対して接続コネクタが準備されているもの、接続コネクタは準備されていないが比較的簡単に設定可能なもの、そして接続不可能なものなどがあります。

ETLツールがデフォルトで対応していない接続不可能なデータソースがある場合は、どの範囲のデータについて、どうすれば接続可能になるかを検討する必要があります。例えば、「データをクラウドに自動でアップする」「RPAを利用して販売データファイルダウンロードと、クラウドへのアップロードを自動化する」といったものが考えられます。

データの準備ができた後は、変換処理を設定します。項目名の変更、データ自体の変更、通貨の変更、手数料計算などが正しく行われるかを、正常に処理が完了するまでテストします。

(3)ETLツールでの通常処理の実施ならび微調整

例えば、毎日の売上データが締まるタイミング後に、ETLで自動的にデータ統合を行う場合、正しく処理が行われているかを確認する必要があります。例えば、データ処理を行ったが、一部データは前日のデータだったという場合は、データ取得タイミングを変更するなど、細かな調整が必要です。

(4)データ統合範囲の継続的な見直し

データ統合を継続的に行っていると、「当初は必要なしと判断していたデータが必要になった」「データ提供タイミングが変更になった」「データ量が増加して、翌日業務開始までに処理が終わらなくなった」といった課題が出てくる場合があります。課題が出てきた際には、都度ETL側の修正が必要となります。

ETL利用事例(プラットフォーム側)

マルチチャネルを支えるECプラットフォーム側のETL利用事例を紹介します。「au PAY マーケット」を運営するAUコマース&ライフでは、毎日の販売データ処理に当社のETL「Reckoner」を利用しています。以前使っていたETLツールでは3つの課題がありました。

  • オンプレミス側のETLを利用していたが、変更の際には都度ベンダーに依頼が必要。変更完了までの時間が長い。
  • ベンダーに変更を依頼した際のコストが高い。
  • データ量が増加し、毎朝の業務開始までに処理が終了しない。

こうした悩みを解決するために。当社Reckonerを導入し、上記の課題をすべて解決しました。プラットフォームが持つデータ量は膨大ですが、品質、時間、コストを全て満たす処理が実施できています。

マルチチャネルのデータを統合してデータに基づいた戦略を

データの分析結果に基づき意思決定を行うことを「データドリブン」と呼びます。多くの組織が、勘や経験に頼らずにデータドリブンとなっているのは、顧客や販売手法の多様化により、過去の勘や経験が役に立たない場面が増えているためです。

ETLは、「正しいデータを統合し提供する」という機能を持つため、データドリブンを行う基盤となります。ぜひETLを活用し、マルチチャネルの顧客の動向を正しく分析し、適切な手段を講じていただければと思います。

ETLツールについて詳しく知りたい、ETLツールの選び方を知りたいという方はこちらの「ETLツールとは?選び方やメリットを解説」をぜひご覧ください。

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