kintoneの複数アプリをまたいだ統合ダッシュボードを実現!マーケデータの集計属人化とミスのリスクをなくし「誰でも同じ土台から横断分析できる」環境を整備

トヨクモ株式会社

トヨクモ株式会社は、「すべての人を非効率な仕事から解放する」をミッションとし、安否確認サービスをはじめ、kintoneと連携する各種サービス、スケジューラー、ナレッジ共有ツール「NotePM」など、「誰もが簡単に使えるシンプルな製品」にこだわったサービスを展開しています。
今回は、マーケティング本部で社内データ活用基盤の整備を担ってきた、森 裕太さん、市川 敦暉さんに、Reckoner(レコナー)導入の背景と成果について詳しくお話を伺いました。

Reckoner導入前の課題

  • kintoneアプリが製品×情報ごとに約40個に分散しており、kintone上で統合して扱うことが難しく、全体を横断したデータ分析を行うには大きな手間と時間がかかる状況だった。
  • 分析を行うたびに、どのアプリから、どの条件で書き出すかを毎回担当者が判断し、kintoneからCSVを書き出してGoogleスプレッドシート上で結合・加工する必要があり、工数負荷が大きかった。
  • 処理内容や運用手順が特定のメンバーに集中しており、休職や異動が発生した際に運用が止まってしまう懸念があったほか、属人化により抜け漏れやミスのリスクを常に抱えていた。

導入の決め手

  • 比較検討していた他社ツールと比べてSQLなどのコードに依存せず、ノーコードでデータ前処理を標準化できる点。
  • GUIベースで前処理・結合や統合・転送まで幅広いデータ処理を構築できることで、属人化を防ぎつつ、運用担当の習熟コストを抑えられると判断。
  • お問い合わせ時のレスポンスが早く、丁寧なサポート対応により、導入後の運用面でも安心感を持てた。

Reckoner導入による効果

  • 約40個あるkintoneアプリすべてを対象に、データの整備・統合プロセスを自動化
  • 各チームが同じ前処理済みデータを土台に、横断分析・モニタリングを行える環境を実現
  • 手作業によるミスや作業漏れが発生しなくなり、気づかないままレポーティング・分析してしまうリスクを解消
  • 月約20時間(1日あたり約1時間)の定型作業の工数を削減

約40個のkintoneアプリに分散したデータが、分析の足かせに

――ご自身はどのような役割・業務を担当していますか?

マーケティング本部内で新設された「データアナライズグループ」に所属し、社内データを扱う専門部署として、kintoneに蓄積されたデータの整備と活用に取り組んできました。
基本的に社内のすべてのデータがkintoneに蓄積されているため、「まずはそのデータをしっかり整備し、きちんと活用できる状態にしていこう」という方針で、2名体制で取り組みを進めていました。

その後、2025年7月の組織再編に伴いグループ自体は統廃合されましたが、データ整備・活用という役割は継続しており、部署の所属にかかわらず、現在もReckonerを中心としたデータ基盤の運用を続けています。

――Reckoner導入前はどのような課題がありましたか?

まず1点目は、社内のすべてのデータがkintoneに格納されている一方で、データ分析時に利用されることの多いkintoneアプリが製品×情報ごとに約40個に分散しており、kintone上で統合して扱うことが困難だったため、全体を横断したデータ分析がしづらかったという点です。

2点目は、分析前のデータ書き出し・加工が大きな負担になっていたことです。
どのアプリから、どの条件で、どのフィールドを書き出すかを毎回担当者が判断し、1日あたり約40個のアプリからCSVを出力してGoogle Driveにアップロードし、プログラムを走らせるといった作業を手動で行っていました。

3点目は、手作業とスプレッドシート前提の運用による属人化とミスのリスクです。
書き出し条件や対象アプリの選定を人がその都度判断していたため、処理が特定メンバーに依存し、属人化・工数増加・抜け漏れのリスクが常にありました。
特定製品のアプリを書き出し忘れる、別の製品名で追加してしまうといったミスも発生しやすく、「気づかないままレポーティング・分析してしまう」リスクを抱えていました。
また、こうした属人化により、休職や異動が発生した際に運用が止まってしまう恐れもありました。

――Reckonerを知ったきっかけを教えてください。

「kintone データ連携」や「ETL」などのキーワードでネット検索したことです。
最初に他社のサービスを見つけて、その後さらに調べていく中で、Reckonerでもkintoneをデータソースとして使えることが分かり、比較検討の候補に加えました。

GUIだけでデータ転送まで完結できる ― 「わかる人しか触れない世界」からの脱却

――Reckonerを実際に触ってみての感想を教えてください。

直感的に操作できるUIで、設定に迷う場面はほとんどありませんでした。
とくに使いやすいと感じたのが、各項目にマウスオーバーした際に、その場で説明が表示される仕組みです。
わざわざヘルプページを開かなくても、「この設定は何を意味しているのか」「どんな値を入れればよいのか」がすぐに把握できるため、試しながらフローを組み立てていくような場面でも、ストレスなく作業を進めることができました。

――Reckonerを選んだ決め手は何でしたか?

一番の決め手は、ノーコードでデータ分析の前処理を標準化できることです。
検討段階では他社ツールも候補に挙がっていましたが、「SQL前提の世界観だと、結局わかる人にしか触れない」という懸念がありました。
その点、ReckonerはGUI前提の設計になっており、見ればわかる・触ればなんとなく理解できるくらい直感的に扱えると感じました。
GUIベースで前処理・結合や統合・転送まで幅広いデータ処理を構築できることで、処理が特定の人に集中するのを防ぎつつ、運用担当の習熟に必要な時間も最小限に抑えられると判断しました。

また、お問い合わせ時のレスポンスが非常に早く、こちらの質問に対して実際に動くサンプルワークフローまで用意してもらえたことで、導入後の運用イメージが具体的に持てた点も大きな安心材料でした。

(写真左から)マーケティング本部の市川さん、森さん。

  

――導入プロセスについて教えてください。

まずはトライアルを利用し、自分たちが実現したいデータ連携や前処理フローが、Reckoner上で問題なく再現できるかを検証するところから始めました。
この期間の検証や要件整理は、森・市川の2名体制で進めています。
検証結果を踏まえて導入を決定し、トライアル開始から契約締結まではおよそ1か月程度でした。
契約後は、必要なワークフローを順次構築・追加しながら、段階的に運用範囲を整えていきました。

バラバラのkintoneアプリを「横断分析の起点となる1つのデータ基盤」に

――どのようなワークフローを構築されたのですか?

製品×情報ごとに約40個に分散しているkintoneアプリから、データをReckoner上で整形・集約し、そのうえでGoogle Driveやkintoneに転送するワークフローを構築しました。
また、あわせて

  • kintoneからGoogle Driveへのデータ転送を行い、転送後のデータを用いて分析を実施
  • kintoneからGoogle スプレッドシートへの自動転送を行い、毎日自動更新される集計・可視化用データを生成

といった処理もReckonerで自動化しています。
ワークフローの実行頻度はおおよそ1日おきで、マーケティング本部配下の各チームで以下のように活用されています。

  • CS:問い合わせ情報を集約したダッシュボードの作成・運用に利用
  • プロモーション:全製品のお試し申込数を日次でモニタリングするための基礎データとして活用
  • 分析担当者(チーム問わず):統合データを用いた製品利用傾向や契約に関わる分析など、深掘り分析のために活用

 

――導入後、どのような効果がありましたか?

まず、定量的な作業工数の削減です。
以前は、約40個あるkintoneアプリの全てを対象に、CSVを書き出してGoogle Driveにアップロードし、プログラムを実行する作業を行っていました。
この一連の作業に月約20時間(1日あたり約1時間)を費やしていましたが、現在は同じ処理をReckonerで自動化できており、その分の工数がまるごと削減できています。
また、実際には、導入当初は予定していなかった他部署・他用途での活用も含めると、削減できている工数はさらに大きいと考えています。

続いて、「誰でも同じ土台から横断分析できる」環境を整えられたことです。
バラバラに点在していたkintoneアプリのデータを一度Reckoner上で統合・標準化し、そのうえで各チームが使いやすい形でkintoneやGoogle Drive、スプレッドシートに戻していくことで、どのチームも同じ前処理済みデータを起点に分析できる状態を実現しました。

さらに、ミスの予防と安定運用の面でも大きな改善がありました。
以前は、複数アプリからの手動ダウンロードやスプレッドシートでの結合作業の中で、「どの条件で絞り込むか」「どの項目を出力するか」を毎回選択する必要があり、人為的なミスが起こりやすい状況でした。
気づかないまま分析・レポーティングまで進んでしまうリスクもありましたが、Reckonerでこのプロセスを自動化したことで、手作業によるミスや作業漏れが発生しなくなり、社内からも「非常に助かっている」という声が上がっています。

――今後の活用についてどのようにお考えですか?

これまでは主に「データ分析の前処理ツール」として活用していましたが、今後はそれに加えて、売上向上や顧客満足度向上に直結する顧客フォロー領域でのデータ整備・分析にも活用していきたいと考えています。
具体的には、顧客接点となる各種データの自動集約や、フォロー施策に必要な指標のモニタリングなどにも展開していきたいです。

――お忙しい中、貴重なお話をお聞かせいただきありがとうございました。

※本インタビューは2025年12月に実施

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