iPaaS EAI ETL/ELT RPA それぞれの違いをユースケースごとに知り、適切なサービスを選ぶ

企業が持つデータを連携したい、活用したいと言ったときに選べるサービスやツールは無数にあり、似たような機能を持つものも多く混乱しやすい状況です。

ここでは、iPaaS EAI ETL/ELT RPA と言ったデータ連携や活用の文脈でよく出てくるワードについて、大枠を掴んでもらい、自分が抱えている課題に対してどのカテゴリに属するサービスを選ぶのが適切なのか、判断する材料になることを目指します。

そもそも、「iPaaS EAI ETL/ELT RPAの各ワードの意味が曖昧だ」という方にも分かりやすく解説しているので、そういった方も最後までお付き合いください。

目次

iPaaS = EAIやETL/ELTを指す

iPaaS「Integration Platform As A Service」の略で、オンプレミス及びクラウドの様々なデータを連携でき、実行や管理ができるサービスのことを指します。「部署によって異なるシステムを利用している」「グループ間でオンプレミスとクラウド環境のどちらも利用している」など、企業によって状況は様々です。こういったデータの垣根を無くす為の橋渡し的な存在がiPaaSということになります。

EAIETL/ELT などのサービスは、上記の定義に当てはまるためiPaaSであると言えます。以下でEAI、ETL/ELTについて簡単に解説しておきます。

EAI(Enterprise Application Integration)は「社内アプリケーションの統合」という意味を持つ、データを統合する技術、またはその仕組みを指します。EAIの特徴は「リアルタイム」と「高速」での連携であり、イベント志向のデータ連携に向いている技術と言えます。在庫管理や受発注データ、マスタデータといった、常にデータの整合性を保つ必要があるデータの連携処理に使用されます

ETL(Extract Transform Load)は、データベースなどに格納されているデータを「Extract(抽出)」、用途に合わせて必要の形式に「Transform(変換・加工)」、データを「Load(格納)」するという機能、またはその工程を指します。ELT(Extract Load Transform)は文字からもわかる通り、ETLとはLoad(格納)するタイミングが異なる技術です(最終的な目的は同じ)。企業のシステムに蓄積されているデータを、ETLELTを使用してBI(ビジネスインテリジェンス)で分析するといったケースに用いられます。

また、いわゆるレシピ型と言われる、IFTTT(イフト)やZapier(ザピアー)のようなWebサービス間やIoT機器を連動させるサービスもiPaaSです。レシピ型の連携サービスの使用例として、「SlackとDropboxを連携させてデータ共有をスムーズにする」「Googleスプレッドシートとタスク管理ツールを連携させて管理する」などの使い方ができます。

RPAは若干毛色が異なり、PCで行っている毎回同じことを繰り返すような定型的な業務を自動化することを目的としています。

ETL/ELTサービスの呼び方

先程の説明でETL/ELTサービスはiPaaSであると書きましたが、実際ETL/ELTの各社は自分たちのサービスのことをETLであったり、データパイプラインと呼ぶことも多いです。
ETL/ELTに限らず、それぞれのサービスが広義のiPaaSには含められるものの、実際は自分たちのサービスをiPaaSとは呼ばず、別の呼称を使っていることもよくあるので、そんなときはここのカテゴリ分けを思い出して混乱しないようにしましょう。

ユースケースごとに知るiPaaS群とRPA

ここからは、最適なデータ連携サービスを選ぶために、ユースケースごとに違いを見ていきます。

様々なデータを統合して活用する

これはETL/ELTが実現します。

特徴として、全レコードもしくは抽出してまとめた単位・大データ単位で、バッチ処理的であることが挙げられます。

これは日々生成される大量のデータの活用に主軸を置き、様々な場所にあるデータを収集し、加工してからDWH(データウェアハウス)のような大容量ストレージにデータを転送するような処理に最適です。

企業には、活用しきれていないが、活用すればビジネスの意思決定に大きな影響を及ぼすようなデータがたくさんあるはずです。その一つ一つのデータをつなげて集約し、活用しやすいようにまとめ上げるのがETL/ELTの役割です。

データウェアハウスにまとめられたデータは、可視化や機械学習、データマートの作成といった各種分析用途に用いられることが多いです。

また、既知のことかもしれませんが、ETL/ELTはクラウドが主流となっています。

クラウドサービスであれば、物理的なハードウェアが不要で「ハード調達コストもハードの破損によるメンテナンスコスト」「保管にかかるコスト」が全て不要です。

データソース側での修正対応もクラウドサービス提供者が行なってくれるため、変更対応にかかるコストも削減できます。そしてオンプレミスのように「調達したハードウェア性能=処理性能」ではないため、より迅速な処理が可能(クラウドサービスや費用にもよって異なります)です。

様々なアプリケーション・ネットワーク・システムのデータを連携する

これはEAI・レシピ型が実現します。
特徴として、1レコード単位・少データ単位で、イベントドリブンであることが挙げられます。

これはリアルタイムのデータ連携に主軸を置き、複数のアプリケーション・ネットワーク・システムを繋ぐ用途に最適です。

各拠点のデータを集約して最新の在庫情報をチェックしたり、受注・発注のシステムと、会計や生産管理といったシステム、BIツールをそれぞれ連携させつつ、今後の受注予測や会計管理を可視化したりなど、リアルタイム性が求められる連携に最適です。

在庫管理、生産管理、受注管理、会計管理など、それぞれ独立したシステム間の連携は手動で行われていることもあり、自動でデータ連携させることによる効果は絶大です。データの入力コストは無くなり、手動で入力していたことによる人的ミスも起こらなくなります。

PCで手作業で行っている繰り返し作業を自動化する

これはRPAが実現します。
RPAは作業者がPC上で行っている操作を完全に再現して、作業を行うロボットのようなソフトウェアです。定常的に発生する入力業務や、ある資料の文章を別の資料にコピーアンドペーストしたり、メールで来た添付ファイルをExcelに貼り付けて資料を作成するなど、毎回全く同じ作業を行っており、自動化したいような定常業務に最適です。自動化可能なポイントは作業手順が毎回同じで形式化でき、PC上で完結する作業であることです。

目的にあったiPaaSを選ぶ

以上、本記事ではiPaaSについてお伝えしました。
重要なのは、用語の違いを正しく理解をした上で、目的に合致したツールを選択することです。そうすることで、手戻りによって浪費する時間や無駄な工数を減らすことができます。

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ETLツールについて詳しく知りたい、ETLツールの選び方を知りたいという方はこちらの「ETLツールとは?選び方やメリットを解説」をぜひご覧ください。

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