DX推進を支えるデータ連携とは?重要性やメリット、進め方を解説

DX推進に取り組む中で、「データがシステムや部門ごとに分断されており、十分に活用できていない」と感じていませんか?

DX(デジタルトランスフォーメーション)を実現するためには、単に新しいツールを導入するだけでなく、バラバラに存在するデータをつなぎ合わせ、業務の効率化や迅速な意思決定に活かせる状態をつくることが不可欠です。

そこで今、DXを支える不可欠な基盤として注目されているのが「データ連携」です。

本記事では、DX推進におけるデータ連携の役割や重要性を整理したうえで、代表的な連携方式(EAI・ETL・iPaaS)の特徴、具体的な導入ステップ、そして失敗を防ぐための「スモールスタート」の進め方までをわかりやすく解説します。

「何から手をつければいいのかわからない」「自社に最適な連携方法を知りたい」という担当者の方は、DX推進を現実的に前進させるためのヒントとして、ぜひ参考にしてください。

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目次

DX推進におけるデータ連携の重要性

DXとは、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズに基づき、製品やサービス、ビジネスモデルを変革し、競争上の優位性を確立することです。

単に「紙の書類を電子化する」ことや「特定のITツールを導入する」ことだけがDXではありません。DXの本質は、デジタル化を手段として、組織のあり方や業務プロセスそのものを変革し、継続的に価値を生み出し続ける全社的な取り組みにあります。

現在、企業で生成・蓄積されるデータ量は増え続けており、それらを横断的に活用しビジネス価値へ転換する必要性が高まっています。データがシームレスにつながる環境を整えることで、初めて迅速な意思決定や業務の自動化といった、本来のDXの目的を達成できるようになります。

なぜ今DXでデータ連携が注目されているのか

DXを推進する上で、データ連携がこれほどまでに重要視されているのには、明確な理由があります。多くの企業が直面している課題を整理すると、以下の3点に集約されます。

データのサイロ化(分断)がDXの障壁になっている

現代のIT環境では、オンプレミスの基幹システムに加え、クラウドサービスや多種多様なSaaSを併用する企業が急増しています。

システムごとに最適化された結果、データがそれぞれの場所に閉じ込められてしまう「データのサイロ化」が起きています。部門をまたいだ情報共有が難しく、全社的なデータ分析や顧客体験の向上を阻む大きな壁となっています。

手作業によるデータ連携が人的ミス・運用負荷を生んでいる

システム間のデータ移行を「CSVファイルの書き出し」「手作業での転記・加工」「他システムへのインポート」といったアナログな手段で行っているケースは少なくありません。

こうした手作業には、常に以下のようなリスクがつきまといます。

  • 入力間違いやコピペミスによるデータの不整合
  • 特定の担当者にしかわからない作業の属人化
  • データ量が増えるほど膨れ上がる運用コスト

「業務を効率化するためにDXを進めているのに、データをつなぐための手作業が増えて現場が疲弊する」という矛盾した状況を解消するために、自動化されたデータ連携が求められています。

リアルタイム性・迅速な意思決定が求められている

市場環境や顧客ニーズの変化が激しい現在、1週間前のデータを集計して会議にかけるようなスピード感では競合に遅れをとってしまいます。

経営層や現場の担当者が「今、何が起きているのか」を正確に把握し、即座にアクションを起こすためには、システム間でデータが常に同期されている必要があります。データ連携の自動化は、単なる効率化だけでなく、企業の意思決定の精度と速度を底上げするための必須条件といえます。

参考記事:DX推進のための体制整備【データ活用・データ分析】

DXにおけるデータ連携の4つのメリット

データ連携がもたらすメリットは多岐にわたりますが、DX推進を成功させるために不可欠な以下の4つのポイントがあります。

  1. 業務効率化・自動化の推進 
  2. データ活用による意思決定の高度化 
  3. 顧客体験(CX)の向上 
  4. セキュリティ・ガバナンスを含めたIT運用基盤の強化

本章では、単なる業務効率化にとどまらず、DXの成果につながる価値の観点で解説します。

1.業務効率化・自動化の推進

システム間でデータが直接つながることで、CSVの書き出しや手入力、転記といったアナログな作業が不要になります。部門やシステムをまたぐデータの流れを自動化することで、業務プロセス全体のスピードが大幅に向上します。

これにより、ヒューマンエラーが防止されるだけでなく、従来データ処理に費やしていた時間を削減できます。社員が事務的な作業から解放され、DXが目指す「付加価値の高い創造的な業務」に注力できる環境を構築するための第一歩となります。

2.データ活用による意思決定の高度化

部門ごとに分断されていたデータを統合することで、全社横断的な現状把握が可能になります。データ連携によってBIツールや分析基盤へスムーズに情報を集約できる環境が整えば、経営状況や市場の変化をリアルタイムに可視化できます。

これにより、従来の「勘や経験」に頼った判断から、客観的な事実に基づくデータドリブンな意思決定へと移行できます。確かな根拠に基づき、迅速かつ的確な次の一手を打てる体制は、DXを成功させるための重要な土台となります。

3.顧客体験(CX)の向上

システム間に散在する顧客データを統合することで、顧客の属性や行動履歴を多角的に把握し、深い顧客理解が可能になります。これにより、個々のニーズに応じたパーソナライズな提案や、問い合わせへの迅速な対応が実現します。

顧客とのあらゆる接点で一貫した体験を提供できる体制は、DXの成果を最終的な顧客価値の向上へとつなげる鍵となります。

4.セキュリティ・ガバナンスを含めたIT運用基盤の強化

個別に作り込まれた連携や属人的な運用を排除し、データ連携基盤へ集約することで、セキュリティリスクを低減できます。アクセス制御や操作ログを一元管理できるため、データの取り扱いに関するガバナンス強化にも寄与します。

また、システム全体の構成が整理されることで保守性や運用効率が向上し、ブラックボックス化を防げます。安定したIT基盤を整えることは、DXを一時的な取り組みで終わらせず、継続的に推進していくための重要な土台となります。

DXにおける代表的なデータ連携方式

データ連携を実現するための技術や手法には複数の方式が存在し、連携の目的、扱うデータの量、求められるスピード感によって適切な手法は異なります。

DX推進においては、既存の基幹システム、最新のクラウドサービス、そして社外のプラットフォームなど、多様な接続先を考慮しなければなりません。ここでは、現代のDX推進において中心となる代表的な3つの連携方式について、それぞれの役割と特徴を解説します。

  1. EAIによるデータ連携
  2. ETLによるデータ連携
  3. iPaaSによるデータ連携

1. EAIによるデータ連携

EAI(Enterprise Application Integration)は、企業内の複数の業務システムをリアルタイムで連携させる仕組みです。システム間でデータが発生するたびに即時共有を行うため、情報のタイムラグを最小限に抑えられます。

DXにおいては、業務プロセスの自動化や、分断されたシステム間を効率的につなぐために活用されます。特に、基幹システムとフロントエンドの業務アプリ、あるいは複数の社内システムを密に連携させ、常に最新の状態を保ちたい用途に向いています。

2.ETLによるデータ連携

ETLは、複数のシステムからデータを抽出し(Extract)、目的に合わせて加工・変換(Transform)した上で、データウェアハウスなどの基盤へ書き出す(Load)方式です。

DXにおいては、BIツールを用いたデータ分析や可視化、精度の高い意思決定を支える「データ活用基盤」の構築に利用されることが多く、データの発生都度の処理(リアルタイム性)よりも、膨大なデータを整理・集約し、一貫性のある情報として蓄積・活用する用途に非常に向いています。

関連記事:EAIとETLの違いとは?特徴・メリット・使い分けのポイントを解説

3.iPaaSによるデータ連携

iPaaS(Integration Platform as a Service)は、複数のクラウドサービスやSaaS、オンプレミスシステムをクラウド上で横断的に連携させるプラットフォームです。

API連携をベースとしつつ、連携フローの可視化や管理、エラー処理などをGUI上で容易に行える仕組みを備えています。専門的なプログラミング知識がなくても、迅速にシステム間をつなぐことが可能です。

DXの進展に伴いSaaSの利用が拡大する中、変化に合わせて柔軟に連携構成を変更できる手段として注目されています。主にSaaS同士の連携や、複数のアプリケーションをまたぐ業務プロセスの自動化に非常に適しています。

参考記事:iPaaS EAI ETL/ELT RPA それぞれの違いをユースケースごとに知り、適切なサービスを選ぶ

DXにおけるデータ連携手法の比較

EAI、ETL、iPaaSの3つの方式について、DX推進の観点から特徴を整理しました。自社の課題や目的に対して、どの方式が最も適しているかを確認するための比較表として活用してください。

比較項目EAIETLiPaaS
主な目的システム間のリアルタイムなデータ共有データ分析・可視化のための統合・蓄積複数のクラウド・SaaS間の統合管理
対象となるデータ伝票や在庫などの業務データ過去ログや売上履歴などの大量データSaaS上のデータや業務プロセス全体
リアルタイム性高い(イベント発生都度)低い(一括バッチ処理が主)高い(ワークフロー連動)
データ量中規模(一件ごとの処理)非常に大規模中規模
DXでの役割業務プロセスの自動化・高速化データドリブンな意思決定の基盤変化に強いクラウドエコシステムの構築
向いているケース拠点間の在庫同期、受注情報の即時反映DWH(データウェアハウス)の構築SaaSを横断した複雑な業務自動化

データ連携を成功させるためには、単に新しい技術を選ぶのではなく、目的に応じた方式選定が重要です。たとえば、現場の作業を自動化したいならEAIやiPaaS、全社的な分析を行いたいならETLといったように、解決したい課題から逆算して最適な手法を組み合わせる視点を持ってください。

DX推進におけるデータ連携導入のステップ

DX推進におけるデータ連携は、初期段階から全社的な大規模基盤の構築を目指すと、投資対効果が見えづらくプロジェクトが停滞するリスクがあります。

重要なのは、自社のDX成熟度や喫緊の課題に合わせて、段階的に連携範囲を広げていくことです。まずは「どこを改善すれば最も効果が出るか」を見極め、小さな成功体験を積み重ねながら全体最適を目指すアプローチが現実的です。

本章では、データ連携導入における一般的な5つのステップと、各段階での具体的な取り組み内容を解説します。

ステップ1:現状課題の整理とDX目的の明確化

データ連携の第一歩は、現場の業務やデータ活用において「何がボトルネックになっているか」を洗い出し、DXで達成したい目的を明確にすることです。

「転記作業を自動化して工数を削減したい」「全社データを統合してCXを向上させたい」といった具体的な目的が、導入すべき手法やツールの選定基準となります。ゴールが曖昧なまま導入を急ぐと、システムをつなぐこと自体が目的化してしまい、ビジネス価値を生まない形骸化した仕組みになるリスクがあるため注意が必要です。

ステップ2:目的に応じたデータ連携方式・ツールの選定

ステップ1で明確にしたDXの目的や課題に基づき、最適な連携方式やツールを選定します。この際、初期コストを抑えつつ効果を検証できる「スモールスタート」に適したツールを選ぶことが、プロジェクトの停滞を防ぐ鍵となります。

また、単なる機能の有無や価格だけでなく、導入後の運用負荷や、自社で保守・拡張(内製化)がしやすいかといった視点も欠かせません。将来的なデータ量の増加や、連携システムの追加といった拡張性も見据えて選定することで、持続可能なDX基盤を築くことができます。

ステップ3:小規模なデータ連携から着手

全社的な大規模連携をいきなり目指すのではなく、まずは特定の業務や部門に絞って着手します。ETLやiPaaSを活用すれば、既存の仕組みを大きく変えずに低コストかつ短期間で導入可能です。

「一部の手作業の自動化」や「特定データの同期」といった、目に見える効果を早期に実感できる領域から始めることで、現場の混乱を抑えつつ、成功体験を積み重ねながら段階的に連携範囲を広げていくことができます。

ステップ4:データの統合・活用基盤を整備する

部分的な連携で成果を確認した後は、各システムに分散したデータを統合し、全社横断的に活用できる基盤へと昇華させます。

システムごとに異なるデータの形式や粒度、更新頻度を整理・統合することで、初めて全社レベルでの正確な現状把握と高度な分析が可能になります。この際、将来的なデータ量の増大や、AI活用といった新しいニーズにも柔軟に対応できるよう、拡張性と柔軟性を備えた設計にすることが不可欠です。

単にデータを一箇所に集めるだけでなく、変化し続けるビジネス環境に合わせて進化し続ける「DXの継続的な推進力」となる基盤を確立することが、このステップの最終的なゴールです。

ステップ5:全社展開とDXの高度化

特定部門での成功をモデルケースとして、データ連携の範囲を全社へと拡大します。個別のシステムをつなぐ段階から、業務プロセス全体を俯瞰した設計へと移行するフェーズです。

ここでは、複雑化するシステム間連携を最適化するEAIの活用や、複数のSaaSをまたぐ高度なワークフローの構築が重要になります。ビジネス環境の変化に合わせてシステムを柔軟に入れ替え、連携を拡張できる基盤を維持することで、DXを一時的な施策に終わらせず、企業競争力を高め続けるための仕組みとして定着させていきます。

6.スモールスタートで進めるデータ連携戦略

DX推進を成功させる鍵は、壮大な計画を立てることではなく、日常業務の中に潜む小さな非効率を解消することから始めるアプローチにあります。まずは手作業が発生している箇所や、データの受け渡しが滞っている特定の業務を起点に、目に見える改善を積み重ねていくのが現実的です。

具体的な活用シーンの例

データ連携をどこから着手すべきか、イメージしやすい2つの例を紹介します。

経理業務における月末処理の自動化 

多くの企業では、会計システムと販売管理システムのデータを手作業で集計し、Excelで加工して月末の数字を確定させています。ここをデータ連携によって自動化すれば、転記ミスがなくなるだけでなく、締結作業にかかる時間を大幅に短縮できます。

営業部門における顧客データの一元化 

営業担当者ごとにExcelや名刺管理アプリでバラバラに管理されている顧客データを連携・統合します。これにより、誰がいつどのような提案をしたのかを組織全体で共有できるようになり、属人化を防いで最新の情報を基にした戦略的な営業活動が可能になります。

成功体験を積み重ね、DXを組織に定着させる

スモールスタートの最大のメリットは、短期間で業務改善の効果を可視化できる点にあります。

「データがつながることで、これだけ楽になった」「今まで見えなかった数字が即座にわかるようになった」という具体的な成果を数字や事実で示すことで、他部門や経営層からの理解と協力が得やすくなります。

小さな成功体験を積み重ねながら、徐々に連携の輪を広げていくプロセスこそが、DXを一部の担当者だけの取り組みに終わらせず、組織全体の文化として定着させる近道となります。

データ連携を起点に、DXを次のステージへ

DXの本質はデジタル技術による変革であり、その成否はデータの活用度合いに左右されます。本記事では、分断されたデータを繋ぐ重要性や、EAI・ETL・iPaaSといった方式の違い、そして段階的な導入ステップを解説しました。データ連携は単なるシステム接続ではなく、組織全体の意思決定を高度化し、顧客体験を向上させるための強固な基盤となります。まずは身近な業務の「手作業の排除」という小さな成功から始め、徐々に全社的な活用へと広げていくことが、現実的なDX推進の近道です。

データ連携は一度構築して終わりではありません。ビジネス環境の変化に合わせて連携を最適化し続けることで、DXをより高度なステージへと進化させることができます。

特に「データの集約・加工・活用」を重視する場合、スモールスタートが可能で拡張性の高いETLツールの活用も有力な選択肢となります。信頼できるデータ基盤を早期に築くことが、データドリブンな組織への転換を加速させます。

DX推進やデータ活用におけるデータ連携の具体的な進め方について、さらに詳しく知りたい方や課題を抱えている方は、ぜひお気軽にご相談ください。

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