【用語集】MDM(マスターデータ管理)
マスターデータは、業務をおこなううえで根幹となるデータの一つです。多くの企業では、データ活用に向けてさまざまな取り組みをしていますが、そのなかの一つにマスターデータの統合や管理も含まれるでしょう。
本記事では、マスターデータ管理のメリットや進め方を解説します。
目次
MDM(マスターデータ管理)とは
MDM(Master Data Management)とは、業務で扱われる基本となるマスターデータの正しい管理を行うための活動のことです。システムを意味するわけではなく、あくまでも活動のことを指します。
マスターデータは、製造業を例にすると以下のような情報が考えられます。
- 製品の構成情報
- 部品番号
- 製品番号
- 単価
- 部門コード
例えば、ある部門で製品に必要な部品を加工するときに、どの製品に使われる部品なのかを識別するために、製品の構成情報が必要となります。しかし、マスターデータが適切に管理されていない場合、現場によって参照するデータが異なり、想定していた製品と違うものができあがってしまうリスクが考えられます。また、製品の構成情報からデータ活用をしようと思ったときに、マスターデータが適切に管理されていないと、参照元が異なることで正しい分析ができなくなってしまうでしょう。
マスターデータを正しく管理することは、生産時のミスや構成部品の管理といった企業のガバナンス面はもちろん、データ分析といった観点でも大切になってきます。もちろん製造業以外の企業に関しても、マスターデータ管理は同様に取り組むべきであると言えるでしょう。
MDM(マスターデータ管理)のメリットと必要な理由
企業は、以下の理由からMDMに取り組んでいく必要があるでしょう。
- 生産性の向上
- 高精度な分析
- サプライチェーンの最適化
- データガバナンス
それぞれの理由を解説します。
生産性の向上
MDMはマスターデータの整合性を高める活動のため、業務をするうえで発生する認識の齟齬が減り、確認やすり合わせの時間を削減できます。
MDMが実施されていない場合、違うデータを参照しながら業務が進んでいくため、正しい結果を得られないケースがあるでしょう。その結果、業務のやり直しや改善するための方法を検討する必要が出てくるため、無駄な工数がかかってしまいます。
適切なマスターデータを維持していれば、同じデータをもとにした議論が可能なため、認識の齟齬による業務のやり直しなどが発生する可能性が低くなるでしょう。
高精度な分析
マスターデータの整合性が高まることで、高精度なデータ分析が可能です。データ分析は、さまざまなデータソースから取得されるデータを一つの基盤に統合する必要があります。しかし、マスターデータが統合されていないと、さまざまなシステムで共通して使われるデータをどのデータソースから取得していいのかがわからず、データ分析の精度が低くなってしまいます。
MDMの推進により、マスターデータの参照元が正しく維持されるため、データ分析の精度が向上していくでしょう。
サプライチェーンの最適化
MDMによりサプライチェーンが可視化されるため、全体を俯瞰しながら業務上の判断を行えるようになります。
製品の構成情報や番号を適切に管理することで、製品の完成までに必要となる部品や個数が明確になるため、無駄な発注や部品の不足を招くリスクを減らせます。部品の発注時には、製品が市場に出るまでの期間を見据えたうえで、必要な部品を発注しなければなりません。マスターデータが正しくないと、間違った部品や個数を発注してしまうため、無駄なコストが発生するだけではなく、本来市場に出るはずだった製品を製造できないため、販売の機会損失にもつながるでしょう。
データガバナンス
MDMは、企業のデータガバナンスを強化するにあたって欠かせない要素の一つです。そもそもデータガバナンスは、企業内で扱う情報資産のランク付けなどのポリシーを指します。MDMよりも抽象的な概念となるため、並行して進めなければならない活動です。
データガバナンスについて詳しく解説している記事があるので、良ければ参考にしてください。
MDM(マスターデータ管理)の進め方
MDMは、下記の手順で進めると良いでしょう。
- 目的と要件定義
- 現状分析
- 統合方法の選定
- 運用プロセスを決める
それぞれの手順を理解し、MDMを効率的に進めていきましょう。
目的と要件定義
まずは、MDMに取り組む目的や要件定義をします。
目的は、サイロ化が進んでいるデータを探す手間を削減する「業務効率化」、データ統合による「分析業務の精度向上」、情報の機密度に応じた適切な管理をする「セキュリティの強化」などがあげられます。
目的を達成するためには、マスターデータを利用するシステムを洗い出し、データの意味や構造を明確にしたうえで、MDMに取り組むマスターデータの範囲を見極める必要があります。データ収集基盤にかかるコストを参考に、優先順位を決めていきましょう。
- 参考記事:データ収集基盤にかかるコストを考える
現状分析
現状分析では、目的の達成に必要となるデータの収集からはじめます。
例えば、業務効率化を目的にMDMを進めるとしましょう。このケースでは、業務効率化を実現したいシステムで使われるデータに加えて、ほかのシステムでも同様に使われているデータも洗い出します。ただし、データ収集を優先してしまうと、古いデータや不要なデータも対象になってしまうため、今も業務で利用されているデータなのかを見極めることが大切です。
収集してからは、マスターデータの登録や更新プロセスを整理し、システム間のデータ連携も明らかにしましょう。
統合方法の選定
マスターデータの整理ができたら、統合する方法を選定しましょう。
まずは、マスターデータを管理する基盤を構築する必要があり、既存データソースから基盤へのデータ移行が必要です。データ移行はプラットフォームによって方式が異なるため、事前調査をしなければならないでしょう。
- 参考記事:データ移行の戦略とベストプラクティス
こうしたデータ基盤の構築を効率的に実施するためには、ETLツールの活用が効果的です。ETLツールは、各種データソースを一元管理できる「データのハブ」としてマスターデータ管理にもメリットがあります。
運用プロセスを決める
最後は、マスターデータの取り扱いに関する運用プロセスを決めていきましょう。
部署ごとに管理すべきマスターデータの対象を明確にし、登録や更新などの業務を統一する必要があります。部署によってプロセスが異なると、フォーマットの違いなどによって正しいデータを作成できないためです。
運用プロセスは一度定めたら終わりではなく、マスターデータの信頼性が高い状態で業務がおこなわれているのかを定期的に見直し、改善していくと良いでしょう。
最後に:データの一元管理、データ活用は弊社にお任せください
今回は、マスターデータ管理のメリットや進め方を解説しました。
マスターデータ管理は、正しいデータをもとに業務に取り組んでいくうえで、欠かせない業務の一つです。適切なマスターデータを維持できていれば、データ分析の精度が向上し、意思決定も素早くおこなっていけます。
しかし、マスターデータ管理をするためには、データへの理解や基盤の構築など、必要な業務が多岐に渡るため専門的なスキルが必要です。
弊社3shakeは、データ統合基盤の戦略策定から運用までを総合的に支援しています。インフラやセキュリティに強い設計も提供できるため、安定稼働も実現できます。これからマスターデータ管理の強化を考えている企業様は、ぜひ3shakeまでご相談ください。
また、ETLツールについて詳しく知りたい、ETLツールの選び方を知りたいという方はこちらの「ETLツールとは?選び方やメリットを解説」をぜひご覧ください。