日本企業におけるデータ活用の問題点

昨今、企業の経営戦略にデータを活用していくデータドリブンな組織作りに注目が集まっています。しかし、日本企業のデータ活用にはいくつかの課題があり、海外企業と比べて遅れをとっているのが現状です。今回は、日本のデータ活用の現状と今後の推進に向けて必要なことを解説します。

目次

日本におけるデータ活用の現状

ここでは、日本のデータ活用の現状と海外企業との違いを見ていきましょう。

日本のデータ活用状況

2020年に発表された「デジタルデータの経済的価値の計測と活用の現状に関する調査研究の請負報告書」によると、5年間で「POSデータ」「eコマースにおける販売記録データ」「アクセスログ」などのデータが企業で活用されはじめていることがわかります。センサーデータやRFIDなどのデータ活用も進んでおり、多くの企業でIoT機器の導入が進んでいることがわかるでしょう。

(出典)総務省(2020)「デジタルデータの経済的価値の計測と活用の現状に関する調査研究

しかし、一方で顧客データや経理データなどは活用が進んでおらず、むしろ5年の間で低迷しているケースも見受けられます。

海外企業との比較

以下は、2020年に総務省が発表した「5Gが促すデジタル変革と新たな日常の構築」にて、日本と米国およびドイツのデータ収集・蓄積・処理の導入状況を示したグラフです。

(出典)総務省(2020)「5Gが促すデジタル変革と新たな日常の構築

日本は、すべての項目で「導入済み」と回答した企業が3割を下回っている一方で、米国およびドイツは3割以上の企業が導入を進めています。この結果から、データ活用に関わるすべての項目で日本は海外よりも遅れをとっていることがわかります。

日本企業のデータ活用が遅れている理由

なぜ日本企業ではデータ活用が遅れているのでしょうか?

主に以下の理由が考えられます。

  • データ分析の有用性の理解が足りない
  • データビジネスへの理解不足
  • 不十分なデータ整備
  • データの分断

データ分析の有用性について理解が足りない

企業によっては、データ分析の重要性を深く理解していないケースが見受けられます。例えば、非常に基本的な分析(売上全体の推移、製品別の売上推移、各営業担当者ごとの売上金額)のみ行い、それ以上の分析を行わないケースが多数あります。「データの分析は重要だということは分かっているが、日々忙しいし、専任の担当者もいない」といった理由で、分析を後回しにしている、といったケースは、特に中小企業では多く見られます。

データビジネスへの理解不足

データ活用の必要性を感じても、企業内にデータ関連の知識を持った人材がいないケースも多いです。加えて、企業のビジネスを理解したうえでどのようなデータが活用できるかを考える必要があるため、社内の業務にも詳しい人材でなければならないでしょう。ビジネスとデータの両方に精通している人材は、企業規模が小さくなればなるほど、社内にはほとんどいないのが実情です。

不十分なデータ整備

企業では、データマネジメントが適切に実施されておらず、データ活用ができる状態でない場合も多くあります。データ活用をするためには、データのフォーマットの統一などのマネジメントが必要です。データは存在するが、すぐに扱える状態ではない、という場合は、「そもそも誰が、どの部門が、データを一元的に管理運用していくのか」という、責任の押し付け合い的な話となり、結果データ活用が進まないというケースも多数あります。

データの分断

縦割り組織に多くある問題です。東京本社、大阪支社、名古屋工場、上海営業所、といった各部門、各現地法人それぞれでデータを別に用意し、全体として正しく共有されていないというケースが多数あります。

こうした場合では、「東京の人が大阪の情報を見たいと思っても、そもそも見られないし、どのようなデータが存在するのかすら分からない」といった問題が生じます。結果、部門を横断したデータの取り扱いが困難なため、データ活用も進んでいきません。

データ活用に取り組むために必要なこと

データ活用に取り組むためには、以下の活動が求められます。

  • クラウド化
  • データドリブンな組織の形成
  • IT人材の獲得
  • データ活用基盤の構築

クラウド化

クラウド化は、データ活用を進めるために欠かせない活動で、例えば基幹システムのような標準的な仕組みのSaaS化や、クラウド上で誰でもアクセスできる環境にデータを置くといった取り組みが考えられます。

データ活用のみならず、オンプレミスで運用しているシステムのクラウド化によるコスト削減、BCP推進に加え、システム活用や接続が容易になるメリットもあります。

データドリブンな組織の形成

データ活用を進めるためには、データドリブンな組織を形成する必要があります。まずは経営層がデータ活用の重要性を理解し、経営層から社内へ情報発信をしながら浸透させていくと良いでしょう。そのとき、部署ごとにデータ活用を部内で浸透させる人員を用意し、経営層からのメッセージを部内で展開すると効果的です。

IT人材の獲得

人材の確保は非常に重要です。企業は、データ活用・セキュリティ・データ統合に加えて、ビジネス面への理解について意欲がある人材を確保しなければなりません。ただし、現状は専門的な人材が不足しているため、社内で育成する必要も出てくるでしょう。もし、社内育成も難しい場合は、外部リソースを活用し、プロに手伝ってもらうことも検討する必要があります。

IT技能を持つ人材の中途採用は非常に難しく、人件費も高騰しています。このため、社内の給与体系をそのまま当て込むと優秀な人材が採用できないケースも発生しています。これを回避するためには、IT子会社を設立し、本体よりも高額な給与体系を適用して優秀な人材を採用するという手法があります。すでにビックカメラなどの企業で、こうした手法が採用されています。

データ活用基盤の構築

データ活用をするためには、企業で扱うデータを統合的に管理する基盤が必要です。データ基盤を構築することで、システム間でのデータ連携、データ統合が容易になり、データ活用にまつわる工数やコストを最小化できます。

最後に:データ活用基盤の構築やデータドリブンな組織作りは弊社にお任せください

これまで、データ活用という視点でその問題点とどのように解決すべきかに付いての考えをお伝えしました。

弊社3shakeは、データ活用基盤の構築やデータドリブンな組織作りなどを総合的に支援しています。インフラやセキュリティに強い設計も提供できるため、安定稼働も実現できます。これからデータ活用を推進していきたい企業様は、ぜひ3-shakeまでご相談ください。

また、ETLツールについて詳しく知りたい、ETLツールの選び方を知りたいという方はこちらの「ETLツールとは?選び方やメリットを解説」をぜひご覧ください。

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