データ活用で経営課題を解決するための4つの視点
近年はあらゆる情報がデータ化されており、企業の成長にデータ活用が欠かせない時代になってきました。そのため、データ活用に取り組んでいかなければならないと課題に感じている企業の方もいるでしょう。
しかし、データ活用が重要とわかっていてもどのように活用すればよいのか、はたまたどのような効果が得られるのか明確に理解できていない方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、経営の課題を解決するためのデータ活用について解説していきます。
目次
データ活用とは
データ活用とは、企業内で保持しているさまざまなデータを活用し、ビジネス上の課題を解決していくことです。では、似たような言葉であるデータ分析とはどのような違いがあるのでしょうか。
ここでは、データ活用とデータ分析の違いや目的を解説します。
データ分析との違い
データ活用は、さまざまなデータを組み合わせて算出された分析の結果をベースに、経営上の課題の解決やサービスの成長に役立てていくのが目的です。
一方で、データ分析はデータ自体の加工や集約、可視化することで特徴やパターンを導き出すことを目的とします。つまり、データ分析を実施した先にデータ活用が存在するという事になります。そのため、データ分析はデータ活用を見据えて行なう事で、より良い分析が可能になると言えるでしょう。
データ活用の目的
データ活用には、主に以下の目的があります。
- 業務効率化
- 経営判断や意思決定の判断材料としての活用
現場では、日々業務をこなしていく中でさまざまな課題を感じているでしょう。データ活用することで、今ある課題に対して、どのような改善をすべきかが見えてきます。さらに、企業にとって重要な経営判断や意思決定においても、データ活用が効果的です。具体的な内容については、次の章で解説します。
データ活用が経営課題を解決するための4つの視点
データ活用は、数多くの課題解決に貢献します。今回はその中でも、4つの課題について解説します。
- 勘に頼った属人的なマーケティングの撤廃
- 希望的観測で作られる数値予測の改善
- 不採算案件の早期発見
- 社内メンバーの労働環境の整備
勘に頼った属人的なマーケティングの撤廃
データ活用により、経験や勘に頼った属人的なマーケティングを撤廃できます。例えば担当者が、「過去にうまくいったと言われている施策なので、同じやり方でやってみる」といっているが、本当にうまくいったかどうかの真剣な検証が行われていない場合などです。
施策がうまくいったかどうかは、「リードを何件獲得しました」「商談が何件できました」ではなく、「投下した金額と、成果が見合っているかどうか」を中期的、長期的に確認しなければなりません。いわゆる「マーケティングROI」を正しく算出する必要があります。
これを怠ると、一見うまく行っている施策であっても、「リードの量は多いが、質が低すぎて、売上に全く貢献していない」といった施策を繰り返し行ってしまうことになります。
これを避けるために、ETLを利用してマーケティング関連のデータを定期的に算出し、施策がうまくいっているかどうかを、感覚ではなくデータとしてROIを算出、把握することで、本当に意味で効果的な施策の実施が行えるようになります。
希望的観測で作られる数値予測の改善
データ活用は、新製品の売上予測などを算出する際にも効果的です。
新製品の担当者は、自分が心を込めて育ててきた企画を通すため、自分に有利な条件で試算を行いがちです。一見中立的に見えるデータであっても、そうではない場合があります。
そして、会社としては、新製品開発担当者の熱意は認めつつも、赤字を生んでしまう企画を通してはいけないので、厳格に審査する必要があります。
このため、新製品の提案を行う際には、担当者が持ってきたデータが本当に間違いがないか、意図的に改ざんしていないかを判断する必要があります。いわば、「データの裏取り」です。
もし、会社として「提案するデータの根拠となる主要な指標」をETLで自動取得・管理し、定期的に更新を行っていれば、正しいデータに基づいた議論が可能となります。
不採算案件の早期発見
不採算案件には、「受注前から予測できた不採算案件」と「受注後に不採算となることが判明した案件」があります。データ活用は、この両方の発見に役立ちます。
まず、「受注前から予測できた不採算案件」です。例えば、営業が受注を急ぐあまり、採算性について甘く判断して通そうとするケースが想定されます。
このようなケースの場合、過去の案件データベースを作成しておき、ETLを用いてデータを整理し検索可能な状態にすることで、提出された工数見積が、過去の実績と比べて本当に適正なのか、不採算とならないかを判別できます。
また、「受注後に不採算となることが判明した案件」についても同様です。進捗が遅れている、予定より工数がかかっている、などのネガティブな兆候が見えてきた段階で、本当に不採算とならないか、もし不採算になりそうであれば、どうすれば避けられるかを、過去の案件データベースを踏まえて議論できます。
また、プロジェクト管理ツールならびに過去の案件管理データベースを機械学習させることで、「危ない兆候がでてきたら、事前に通知を送る」ような活用方法も可能です。
社内メンバーの労働環境の整備
人事データの活用は、社内メンバーの労働環境の整備にも繋がります。
例えば、過去の休職者や退職者などの情報と、問題が発生する前の勤務時間などのデータを学習させることで、「このような勤務が続くと離職率が上がる」「このような場合に休職者が多く発生している」いった情報がデータとして把握できます。
従業員が入力する勤怠データを、ETLで整理・加工した後で、機械学習を行うことで、「こうした場合には、社員の残業時間を半ば強制的に減らす」「休職者を多く発生させている管理職は、人事トレーニングを受講させる」といった対応をより精緻に行えるようになります。
データ活用を行うための3つのポイント
データ活用を行うためには、以下3つのポイントがあります。
- 活用可能なデータソースの選定
- データ分析のリソースの確保
- データ活用環境の整備
活用可能なデータソースの選定
まずは、企業で活用していきたいデータソースの選定をします。
データソースの選定にあたり、データ連携の重要性についても知っておかなければなりません。データ連携は、システム間におけるデータの受け渡しを実施するのに加えて、特定のデータベースへ各種データを集約する役割も持ちます。データ連携は分析に必要なデータを集約していくため、最終的なデータ活用時においても重要性が高いです。
そのため、データ連携先となるデータソースの算出時には、経営上の課題を解消するために必要となるデータを算出するのが良いでしょう。
データ分析のリソースの確保
続いて、データ分析で必要となるリソースを確保します。データ分析は機械学習を取り入れて実施していくため、機械学習を実現できる専門的な人材が必要です。具体的には、データ分析のアルゴリズムを構築し、その後収集されたデータを学習していきます。その中で、経営上の課題を解決するための特徴やパターンを導いていくのです。
もし、企業内に専門的な人材が不在の場合には、外部リソースやツールの活用も検討すると良いでしょう。
データ活用環境の整備
最後は、分析した結果を活用できる環境整備が重要です。データ活用の環境は「人」と「インフラ」の二つが揃ってはじめて成り立ちます。
データドリブンな組織の形成
データドリブンとは、データに基づいて経営上の判断を下していく考え方です。データドリブンな組織の形成は、データ活用環境の整備において人の役割を持つ部分です。
例えば、今後のマーケティングにおける判断をするとしましょう。データドリブンな組織では、今までの売上状況や顧客の購買活動などから特徴を見つけ出し、その結果を元にアプローチを検討していくのです。これまでの経験や勘ではなく、データを元に判断できる組織を形成しておくことが重要になります。
データ活用基盤の構築
データ活用基盤とは、データの収集から分析するまでのデータフローの流れを構築することです。データ活用基盤で重要になるのは、ETLツールの導入でしょう。
ETLツールは、必要となるデータソースへのアクセス、データの加工、DWHへの格納といった一連の流れを容易に実現できます。データを一元管理した後の分析にはBIツールなどを使用するのがおすすめです。BIツールは、データの可視化を実現できるため、ユーザー自身がデータ分析をしながら今後の施策検討をしていけます。
データ活用で経営課題を見える化
今回は、経営の課題を解決するためのデータ活用について解説しました。
データ活用は、今までの経験や勘を頼りにしていた経営判断からデータに基づく判断ができるようになるため、経営全体の質が向上し今後の施策もより効果的なものを打ち出していけます。こうしたデータ活用をするためには、活用するための組織作りや基盤作りが必要です。
しかし、データ活用をするための基盤作りをどのように進めていくべきかわからない企業様も多いでしょう。
弊社3shakeは、データ統合基盤の戦略策定から運用までを総合的に支援しています。インフラやセキュリティに強い設計も提供できるため、安定稼働も実現できます。これからデータ基盤の構築を考えている企業様は、ぜひ3shakeまでご相談ください。
ETLツールについて詳しく知りたい、ETLツールの選び方を知りたいという方はこちらの「ETLツールとは?選び方やメリットを解説」をぜひご覧ください。